2011年09月15日
テツとムシの出会い
これも原風景。
父方の祖父は、今の仕事のきっかけです。2005年に書きためた論文をもとに『民族昆虫学』(東大出版会)としてださせてもらいましたが、その宣伝エッセイをUP誌に書きました。そこで「幸せな出会い」として祖父のハチ採りに触れたところ、NHK出版の編集の方から「プルーストの『失われた時を求めて』を彷彿させられました」との便りが来て、『虫食む人々の暮らし』に結実しました。そしてもう一つ、『昆虫食先進国ニッポン』(亜紀書房)へ。こちらには祖父のことをもっと詳しく書かせてもらいました。でも、祖父の虫採りが地理学へと結びついていくときの結節点が実はこれです。祖父を訪ねていくとき、多治見駅からバスで行くこともありました。その時、横切っていた鉄道が気になってました。貨車と入れ替え機関車がいつもみえます。中学校へ上がる前の春休み、友人と多治見駅から歩いていきました。確かに走っています。線路伝いに歩いて行くと終着駅笠原に着きました。貨物線として運行されています。駅を訪ねて、駅長さんと仲良くなり、それから毎月のように通うようになりました。1日1往復の鉄道。いろんな仕組みを学びました。中2の9月、とうとう廃止されてしまいました。山を抜け、集落を抜け、川を渡り、わずか4.6キロの間にいろいろありました。このいろいろがそのうち学問の対象になりました。今はここのお酒が好みです。いっしょに行った友人は建築・ロボット方面で大活躍しています。彼もこの頃を懐かしがっていました。ムシとロボットになっていったこと駅長さんに報告したいです。
Posted by のらなか at 00:00│Comments(0)
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