おじさん
急でした。大工のおじさんが倒れたとの知らせにびっくり。
病院へ駆けつけたときには苦しんでいる様子でした。数年前にガン宣告された時から延命治療をせず自然にとの本人家族の意志でした。それでもはっと意識が戻り、ベッドにすわって「ありがとう」といってもらえました。帰りに撮った富士山の写真も食い入るように見てくれました。新幹線が岡山まで開通したとき、1泊2日で岡山旅行に連れて行ってもらいました。岡山城に姫路城にと思い出が蘇りますが、小2生を連れていくのはさぞかしたいへんだったろうと今にして思います。その新幹線からで写真を見てもらったのが最後になりました。家を持とうと思い立ったとき、とても大工さんには頼めないなと思っていたら、「分譲住宅の同じ値段ならもっといいのが作れる、安くしようと思えばどうとでもなる」との一言で、かわりました。それは家だけではなく、自分の関心が木、山、森へと広がっていく契機にもなりました。そして「作る」ということ、人の手による仕事の大切さにも目を向けられるようになり、自分の研究も人生も大きく影響を受けました。宮大工で修行し、こまやかな造作と工夫、見えないところもきちんと作る、だからこそ表がしっかりする、そんな姿勢と技はおおぜいの人にも賞賛されていました。こんどは天国大工で力を発揮して下さい。合掌。
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